Thursday, January 16, 2014

祝キューティー&ボクサーのオスカーノミネート / Many congrats for an Oscar nomination of Cutie and the Boxer

On January 13, the two-person exhibition of Ushio Shinohara and Noriko Shinohara: Love Is A Roar-r-r-r! In Tokyo closed after 31 days and 4762 visitors. Below is the guest curator's wall text (sorry, no English translation).

1月13日に無事パルコミュージアムでの篠原有司男・篠原乃り子二人展Love Is A Roar-r-r-r! In Tokyo / 愛の雄叫び東京篇が終了いたしました。会期31日で、総入場者数4,762人、ご来場いただいた皆様、ありがとうございました。

とか思っているうちに、今日は1月16日、オスカーのノミネートが発表され、キューティー&ボクサーもドキュメンタリー部門でノミネートのニュース。

そのお祝いの気持ちもこめて、展覧会のパネルテキストを、これから順次アップしていきたいと思います。映画のほうは、ほのぼのとして面白くてよいのですが、アート畑の人間からすると、アートに対する理解がいまひとつ、少なからず誤解も出回っている観もあり。。。

引用などはご自由に、ただし、筆者・富井玲子のクレジットと出典(下の青の部分)は必ずつけてください。

篠原乃り子の変身譚
© Reiko Tomii 2013
出典:富井玲子「Love Is A Roar-r-r-r! In Tokyo」展解説テキスト

アーティストに限らず、人間というものは時として突然に仕事が大きく開花する。

たとえば、篠原乃り子。何しろ、日本の60年代美術の旗手、篠原有司男の夫人だから、常識で考えても彼女のアートの道が容易でなかったであろうことは想像にかたくない。

20歳以上の年の差があるといっても、ジョージア・オキーフのデビューを助けたアルフレッド・スティーグリッツのような包容力は望めない。

二人が出会ったのは1973年。有司男のほうは69年の渡米だが、NYでは事実上まだまだ無名の存在。どちらかといえば、自分の制作を後回しにして内助の功で無名のジャクソン・ポロックの活動をささえたリー・クラズナー的な役割が乃り子にまわってくる。

芸術家の夫という「大きな子供」を一人かかえた点では、リーも乃り子もかわらない。しかし、乃り子には有司男との間に早速授かった一粒種のアレックス空海の養育もあった。いわば二十歳にして子供を二人抱えて貧乏画家の暮らしを余儀なくされたわけだ。

ゴシップめくが、それはそれで面白いライフ・ストーリー。こうした苦労は乃り子が著書『ためいきの紐育』に自ら書いているし、ドキュメンタリー映画《キューティー&ボクサー》のテーマにもなった。

問題はアーティスト・篠原乃り子の展開だ。

バイク彫刻でNYでも開花した有司男が日本や世界各地で十八番の《ボクシング・ペインティング》を再開するのが90年代。同時期、乃り子のアーティスト魂が再稼動。2000年には二人が生活するブルックリンのロフトで「女王国」を宣言し、有司男の侵入を禁じた自らの聖域を確保。絵画や版画制作へ、より積極的に専心しだした。

転機が訪れたのは「Cutie=キューティー」なるキャラクターの創出。道で見知らぬ若い男性に「Hi, Cutie(ヨー、カワイ子ちゃん)」と声をかけられたのがきっかけ。キューティーのハズバンドで有司男に似たブリーも登場して、篠原家さながらの夫婦物語を演じる。

が、こちらはフィクションの世界。極貧ゆえにいつもヌードのキューティーが「これが私たちの本当の話」と語り始めるや、ブリーが「ふん、全部嘘だぜ」とうそぶき、第三者の飼い猫・モッカリーが「ホントにホントの話を知っているのは僕だよ」と合いの手を入れる。

ブリー=Bullieは、「いじめっ子=bully」と「雄牛=bull」が掛け詞になっているし、猫のモッカリーは「mock=嘲る」をもじったMockerie。乃り子の文学的才能と英語のセンスが光る。

アーティスト・ブックやタブローやドローイングなど小型サイズのキューティー作品も数多いが、2010年作の《キューティーの絵巻絵画》では全長22メートルの壁面いっぱいに悠々と夫婦の愛憎を描き出す。その描画力たるや、水を得た魚のように自由闊達。有司男のバッド・ペインティングを凌駕するエネルギーの今後の行方が楽しみだ。


富井玲子 

Friday, January 3, 2014

"Love Is A Roar-r-r-r! In Tokyo" 画像報告(4)作家ポートレートなど

篠原有司男・篠原乃り子二人展
Love Is A Roar-r-r-r! In Tokyo / 愛の雄叫び東京篇

今回は、作家の様子など。。。

ACCのインタビューを受けるギュウちゃん
台の上はプチチョッパー、小品ながら名作
壁は、75年のNYアズマ画廊での展覧会のポスター、お手製のシルクです。

キューティー・ドールと並んだ乃り子さん。
NYからピンクに塗った部品を運んで、テレビの取材のときに顔を描いて入魂!


乃り子さん、自作についた解説を点検!?
展覧会が終わったら、解説テキストもブログにアップしていきたいと思っています。

ギュウちゃんは、自作の撮影。きれいに展示できている、と褒めてもらいました。

二人でポーズ!
左の壁は、ギュウちゃんのウーマン・パワーのドローイング。大好きなワンダーウーマンが入ったドローイング。女侍のWWもカッコイイ。
後ろは、もちろん、乃り子さんのウーマン・パワー。

Saturday, December 28, 2013

"Love Is A Roar-r-r-r! In Tokyo" 画像報告(3)展覧会の中身

篠原有司男・篠原乃り子二人展
Love Is A Roar-r-r-r! In Tokyo / 愛の雄叫び東京篇

さて、乃り子さん全開篇
最初の壁は全部新作。



新作は作りすぎた(?)ので、最後の壁にも乗りました。
そこにある壁は全部を使ってしまうという、富井流です。




 もちろん、映画に出てきた絵巻絵画も、実物大の部屋を再現して展示。これは写真ではスケールが分からないので、あえて、入り口のみえる展示風景を2点。外にギュウちゃんの作品が見えて、絶妙な夫婦の会話気分。


 映画では、私がスタジオ訪問して拝見して、あらたに作っていただいた蝶々のシリーズをずらり19点、乃り子さんの和訳カード付でみせています。

キューティードールは、頭がかしいできたので、オープンして数日で手グスで固定するハプニングもありました。

あと少し、作家のポートレートなど、次回に。

Friday, December 27, 2013

"Love Is A Roar-r-r-r! In Tokyo" 画像報告(2)展覧会の中身

篠原有司男・篠原乃り子二人展
Love Is A Roar-r-r-r! In Tokyo / 愛の雄叫び東京篇

この会場は、美術館的なホワイトキューブではなく、横長の不規則多角形の空間です。
こういうところに、作品をはめ込んでいくのはジグソーパズルみたいで面白い。

映画のほうも夫婦の対話(喧嘩?)が話題になっていますが、
展覧会も二人ともドローイングを身上とする夫婦の対話が見えるとすれば、一つには空間のおかげです。

乃り子さんの力こぶの新作で始まり、

前を見ると、ギュウちゃんのテンコ盛り大型絵画(82年)と


左に曲がると新作のチャーコールを聞かせたドローイングと絵画。こういうさらっと流したドローイングはギュウちゃんの根本にあるdraftsmanとしての気質が見えてきます。

ここからドカーンとギュウちゃんワールド

平たいレトロバイクは、自家製プラスチックタイルを使った力作。

ドースキーで去年イベントしてもらった、ボクシング大作も持ってきました。

ドースキー展は収穫が多く、そのときに発見した70-80年代のドローイングは今回も入れています。また、近作の小彫刻もカワイーイのが結構いいです。

展覧会はキュレーターの「作品」でもあるので、ギュウちゃんの60年代作品の紹介にかこつけて、こちらの「作品」もポスターで出品!

次回は、乃り子さんの作品を見せます。(続く)

Thursday, December 26, 2013

"Love Is A Roar-r-r-r! In Tokyo" 画像報告(1)展覧会の外側

篠原有司男・篠原乃り子二人展
Love Is A Roar-r-r-r! In Tokyo / 愛の雄叫び東京篇

おかげさまで映画「キューティー&ボクサー」をご覧になった方々にも見ていただいているようです。

画像報告、その1:展覧会の外側

スペイン坂を登っていくと、まず垂れ幕が見えて

パルコの前にはポスター掲示も

何度見てもカッコイイ、このポスター。

この熱いノリで展覧会が始まります。

画像報告、続きます。

Thursday, December 5, 2013

Ushio + Noriko in "Love Is A Roar-r-r-r! In Tokyo" Parco Museum in Tokyo, 12/12-1/13



篠原有司男・篠原乃り子二人展
Love Is A Roar-r-r-r! In Tokyo / 愛の雄叫び東京篇
がパルコミュージアムでオープンします。どうか、お運びください。

会期 2013 年12 月13 日(金)~2014 年1 月13 日(月)
   10:00~21:00(最終日は18:00 閉場/入場は閉場の30 分前まで)
    *年末年始は営業時間が変則的になります。
会場  パルコミュージアム(渋谷パルコパート1・3F)
   東京都渋谷区宇田川町15-1 (問)03-3477-5873 www.parco-art.com
入場料 一般500円学生400円小学生以下無料
    * 映画「Cutie and the Boxer」半券ご提示で半額
主催 パルコ
協力 東京画廊+BTAP/共栄繊維/hpgrp GALLERY NEW YORK

ゲストキュレーター 富井玲子
企画制作 パルコ/亜洲中西屋

Friday, December 28, 2012

Shinohara's Boxing Painting on Art News! 篠原有司男の作品がアートニュースのカバーに


Shinohara's Boxing Painting (Wild Turkey in Potsdam Snow Field), 2004 is featured on the cover of Art News, January 2013, issue.